展覧会ニュース

《 龍神Ⅱ 》(部分)2015 年 軽井沢千住博美術館蔵

毎日新聞の作品紹介① 「断崖図」

 毎日新聞に掲載された作品紹介をこちらにもアップしておきます。鑑賞の参考にしていただければ幸いです。
 執筆は北九州市立美術館の河村朱音学芸員です。

■天然群青の深い色合い

 ごつごつとした岩肌の崖、霧がかった空は無限に広がっているようだ。崖を描いた作品は、ベネッセアートサイト直島(香川県)の「家プロジェクト」で2009年に初めて発表して以来、シリーズとして取り組んでいる。最初のきっかけは、痛みつけられた和紙の傷に美を見出したことだった。その後、東日本大震災を経て、生への前向きな姿勢につながる表現へと考えを深めた。
 空海が悟りを得た地である室戸岬を訪れた千住さんは、あまりにも「普通の景色」に驚いたという。そして、これが空海からのメッセージだと受け取り、自己や個性にこだわることをやめた。しなやかな和紙の質感と、真っ黒になるまで焼かれた天然群青の深い色合いは、素材が有する形や色の魅力を十分に伝えている。(北九州市立美術館学芸員 河村朱音)

「断崖図」(部分)2018年、高野山金剛峯寺蔵

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