展覧会ニュース

《 龍神Ⅱ 》(部分)2015 年 軽井沢千住博美術館蔵

毎日新聞の作品紹介② 「瀧図」

■瀧のさまざまな表情

 涼やかな風とともに、轟音が聞こえてくるようである。青みがかった淡い灰色の背景は、一切墨を用いず、天然群青の焼き具合で色の深みを調整している。画材へのこだわりは岩絵の具だけではない。本作では初めて、軟靭膠素(なんじんこうそ)という文化財修復に使用される特殊な膠が用いられた。従来の膠より滲まないため、極力手を加えずに水の流れそのままを画面上にとどめることができたという。
総幅25㍍を超える24面は、恵みとも脅威ともなる瀧のさまざまな表情を時間の経過を追うように楽しめる。高さが3・7㍍にもなる一部の面は、高野山へ奉納後は上部が落とし掛けに隠れてみることはできない。今展でその姿を記憶にとどめておきたい。(北九州市立美術館学芸員 河村朱音)

「瀧図」(部分)2018年、高野山金剛峯寺蔵

 

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